その昔、通路でしかなかった西梅田の地下には、多くのホームレスが陣取っていた。私が気にしていたオッサンは、いつもダンボールを身にまとっており、そのアバンギャルドな風体を「西梅田のフーゴバル」と呼んでいたものだ。憂いのある容貌で物思いにふける「難波の芥川龍之介」、道路に並んでいる宣伝用の旗を器用に縫い合わせたジャケットを着こんだ「堂島テーラー」など(失礼だが我々は気になるオッサンたちを、親しみをこめてそう呼んでいた)ユニークな人々が街角の風景になっていた時代だ。 大阪駅を南に出た西側、西梅田地域で進んでいた一連の開発は20年かかって形になってきた。かつての寂しく小便臭い西梅田に、きらびやかな大型ブランドショップが連なる。東京で続々進む巨大な開発とは比較しようもないが、地域のイメージの変わりようのあまりの落差は笑えるほどだ。 「西梅田」とネットを検索してみても、この街に対する思い入れを語ったサイトやblogは見当たらない。それくらい長らく物語のない場所だったということだ。ここで様々な物語が立ち起こるのはこれからだ。「フーゴバル」が佇んでいた時代の匂いが消え去ってしまうのは少し悲しくもあるが、高級ブランドショップの店内が、阪神地下食のようなにぎわいなのがやっぱり大阪らしい。sony のショールームではゴージャスな格好のオバサマが大声でおしゃべりしながらVAIOを触ったりしている。やはり新しい西梅田にもわくわくするのだ。 西梅田地域オオサカガーデンシティの概要 謎のダダイスト、フーゴ・バルといえば、音韻詩"ガジベリビンバ"。オリジナルを聞くならココで。
by radionova
| 2004-11-21 23:45
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